一歩踏み出す勇気
でも…彼の真剣な思いに答えてお付き合いする方向で物事を考えると、まだ元彼の事が頭を過ぎります。
そこで、私は元彼の話とこの五年間断ち切れなかった自分自身のトラウマを正直に話す事にしました。
そして、だからこそお付き合いする相手は慎重に選びたいし、友達としてお互いの事を良く知ってからにしたいと話しました。
彼は真剣に話を聞いてくれて、理解してくれました。そして、この話を聞いてもっと好きになったし大切にしたいと言う気持ちになったと言ってくれました。
この日の夜、私は帰宅してからも胸の高鳴りが収まりませんでした。
これまで封印してきた元彼の事を告白してしまった事に対する動揺と、彼の真っ直ぐな気持ちに対する喜びで、久しぶりに恋愛感覚が戻ってきた様でした。
彼は大学と部活に打ち込み、デートの資金を稼ぐためにアルバイトをして、お金がたまる度にデートに誘ってくれました。
野球と言うスポーツ特待選手なのに、アルバイトなんかして大丈夫なのか気になりながらも、彼の行為に甘えるようになっていきました。彼も何度か会ううちに緊張も取れていき、自然体になっていきました。
何度デートを重ねたか分かりませんが、彼の好青年ぶりは変わりませんでした。そして気がつけば出会ってから半年が過ぎようとしていました。
もうそろそろ、私も覚悟を決めてもいいかなと思い始めました。
そして彼もその時期を悟っていたのか、次のデートで素敵な指輪をプレゼントしてくれました。
そして告白…
「これまで、僕の夢は野球選手でした。でもあなたに出会ってから僕の夢は変わりました。あなたと一緒に温かい家庭を築き、家族のために働く事。これが今の僕の夢です。僕は大学を卒業したら野球をやめてサラリーマンになります。その時に結婚してください…」
私は、彼の飛躍しすぎたマジな告白に言葉が出ず、笑ってしまいました。
彼らしいと言うか、真面目すぎると言うか…でも、そこまで考えてくれて嬉しかったし安心出来ました。返事はもちろんYESです。
出会いは合コンで、初めての年下の男の子との出会いで、お互いに何一つ知らない状態の中で一目惚れから始まった運命の賭けのような恋でした。
それがこんなに幸せな結果になるなんて、自分自身が一番びっくりしています。
彼に愛される事で今は元彼の事を許せるようになりましたし、過去の記憶として受け入れる事が出来ました。
そして彼に出会えて自分の生活や気持ちが豊かになりました。
勇気を出して一歩前に出てみる事、私の場合はそれが合コンでしたが、その一歩を踏み出せて良かったと思います。そして彼と出会えて良かった。
今は彼の卒業と就職活動の成功を心待ちにしています。