紹介相手の素性
紹介してくれると言いながら、なかなか時間が取れずにまだ会わないままでいたある日、兄夫婦が実家に帰ってきました。私と母はいの一番に、紹介してくれるはずのあの弁護士さんのことを兄に早くしてくれ!と急かしたい気持ちだったのですが、義姉も一緒だったためなかなか口に出して言えずにいました。義姉がどこまで知っているのかもわからなかったし、実際あまり知られたくないと思っていたからです。
夜になると兄は酔っぱらってさっさと眠ってしまいました。母も寝室に入ってしまい、義姉と二人きりになり何気なくお茶を飲みながら会話していました。彼女も4つ年上なので私としては色んな経験談を聞いたりと楽しいひと時を過ごしていたのですが、私はせっかくだから思い切ってその弁護士さんのことを彼女に聞いてみたのです。義姉も兄と一緒に英国に行っていましたし、きっとその方との面識もあるはずだろうと思ったのです。
私が、兄からその弁護士さんを紹介してもらう約束になっていると話したら義姉はとてもびっくりした様子で食いついてきました。信じられない!といった驚きの様子です。彼女からなぜそんなに驚くのか、彼の話も聞きたくて問い詰めたところ衝撃の事実がわかりました。
兄が紹介してくれようとしていたその弁護士さんは、つい半年ほど前に7年間連れ添った奥さんと離婚していたというのです。そして義姉はその前妻さんとは英国時代に相当仲良くしていた友人関係で、現在も友達だというのです。そして前妻さんはお手本になるくらいの大和撫子、和風美人でしっかり者、夫を立てて三歩下がってついていくタイプの女性であったというのです。周囲からは「おしどり夫婦」と言われていたため離婚したことに誰もが驚いていたということですが、実際義姉は彼女から、子供ができないこと、ご主人のデリカシーのなさ、何でも自分勝手にきめてしまい彼女の意見なんて関係ないというような関係だったと、離婚理由まで聞かされていたそうです。
そういう意味で前妻さん寄りの義姉は、その弁護士さんに対してあまり良い印象を持ってはいないようでした。ですから義理の妹の私に兄が紹介しようとしていたことについて、兄のことをあんまりだと非難していました。兄にはその弁護士さんのことについて何度も話していて、あんなに出来の良い奥さんすら幸せにできず逃げられてしまうような男性なんだと内輪で話していたくらいの人物だったそうです。ですから兄がどうしてわざわざその人を妹のあなたに紹介しようとしているのか、離婚のことも伝えていないのかが不思議でならないと言っていました。
わたしも義姉の話を聞いて全く同感だと思いました。