「優しさ」を勘違い
その日以来、Lくんの猛烈アタックが始まりました(笑)。「結婚を前提にした彼がいるから」と何度も断っているのに、「それがどうした、まだ結婚したワケじゃないじゃん」とLくんは意にも介さない様子。毎日メールはくれるし、なんだかんだ言って相談に乗ってくれるし、実はけっこう男らしくて頼りになります。
BさんとLくん、本当にまったく別のタイプ・・・。Lくんは言います、「優柔不断なのはいつまでたっても直らないよ。それでいずれまた苦労するって」。その点Lくんは迷いがありません。自分がコレと思ったら、とことん追求するタイプ(笑)。 たとえ相手に付き合っている人がいたとしても、それを理由にあきらめることは絶対にしたくないんだそうです。
Lくんと接していると、自分のことが分からなくなります。わたしはずっと、自分が相手を引っ張っていくタイプだと思っていました。「強引な人は大嫌い!」とまで思っていたのに、けっこう強引なLくんには嫌悪どころか心地よささえ感じています。これはいったい、どうしたことでしょう。
例えば「ごはんを食べに行こう」と誘われてわたしが戸惑っていると、「じゃ、何曜日の何時にどこどこで!」と勝手に場所や時間を決めてしまいます。「もう、わたしの都合も聞かずに」とあきれる反面、「ま、いっか」と受け入れてしまうんです。Bさんはほとんどの選択をわたしに任せてくれるのですが、Lくんは自分で決めないと気が済まないよう。そのくせこちらが「絶対ヤダ」というと、あっさり引き下がってくれるんです。
その内、「一緒にいて心地いいのは、もしかしてBさんじゃなくLくんなのでは?」と思うようになりました。Bさんといる時は、早くプロポーズしてもらうために自分を良く見せようと必死で頑張ってたように思います。でもLくんとはそんな努力をする必要もなく、いつものわたしでいられます。とは言えLくんの気持ちに応えることは、Bさんと付き合っている以上できません。
しばらく悩んだものの、結局わたしはBさんとお別れすることにしました。別れ話を切り出した時のBさんは、なんとも安心したようなすがすがしい顔をしていました。
そしてその時分かったんです、優柔不断で相手に「ノー」と言えないBさん、結局わたしにも言えなかったんだと・・・。
彼の優しさはわたしのただの勘違いでした。結局彼は相手を傷つけたくないんじゃなくて、別れ話を切り出して相手に恨まれるのがイヤなだけだったんだと思います。